わたしは幼少の頃からアトピー体質で、成人してからも皮膚の炎症がひどくなり、2ヶ月もの入院生活を経験してしまったことがあります。病院のベットでは、全身を掻きむしりながら食品アレルギーに関する本や、生活環境の問題などを取り上げている本を読みあさりました。

ただただ不安でしかたのない毎日の中で、

「もう美容師は続けられないかもな…」

「結婚したばかりなのに…子供もあと数カ月で生まれるというのに…」

「子供もアトピーだったらどうしよう」

「食品添加物って恐いんだー!」

「これからは農業だ!自給自足だ!」

「でも、生活できるのだろうか…」

などの思いが、頭の中でぐるぐると音をたてるようにリフレインされていました。

なんとか回復し、サロンワークを再開できるようになった時も、パーマ液が染みると感じれば使いたくないし、どんどん優しいタイプの薬剤を選ぶようになっていきました。どうしても自分の手や頭皮に染みるような薬剤は使いたくないと拒否していたからです。

気持ちが落ちている時ってのは、周りに対して優しくする余裕なんて全く無いし、かといって自分に対しても病気になってしまった事を責め続け、相当に孤立していたと思います。だから「もっと強くパーマをかけて」とのリクエストにも応える気にはなれず、「薬剤を使わず、カットだけで食べていける方法を考えよう」と、業界誌に載り始めたドライカットを自分なりに研究し始めたりしていました。

しかし時代はカリスマ美容師の出現と共に、社会的にもカラーブームの波が押し寄せようとしていた頃。カラーと言えば白髪染めと一部のオシャレな人達のもの。と、いう時代では無くなりつつあったのです。実際にサロンワークの中でも、ホワイトブリーチにしてみたいとか、外人モデルのような色を楽しみたい。などのオーダーが急激に増え始めてきていました。

そんな状況の中で「オレはカットしかやらない」と言っているのは、「カラーの知識がないからできません」と、逃げているように聞こえる。あるメーカーの営業の方に言われたその一言が悔しくて、「それなら、やってやろうじゃないの!」と、今度は一転して染めまくることになります…(苦汗)。

相変わらず手荒れはひどかったものの、それ以上に色の世界の不思議さと、パーマによって形状を変化させ印象をコントロールできる楽しさにも気が付く事となり、カットだけでは表現できないデザインの世界を広げたいと勉強するようになりました。

さらにこの頃になると、コギャルブームが絶頂期。傷んでも良いからペールカラーやハードパーマなどの、極端なデザインが注目を浴びていました。「オレは難しいカラーもパーマもできるぜー!」を目指していたせいか、何がなんでも求める色を出すことを優先したり、ツイストパーマなどで傷むのは当たり前とばかりに、デザインを優先させた仕事をしてしまったと思います。

結局、そんなブームも長くは続かずに過ぎていく中で、徐々に巻き髪スタイルが流行の表舞台へと躍り出てきました。そう、今度はデジタルパーマです。新しもの好きのわたしですから、もちろんすぐに飛びつきました(笑)。 BUDDY GUUが導入したのは地元ではかなり早かったと思います。

しかしハードなパーマ以上に難しかった点は、柔らかいニュアンスカールを求められるようになったことで、形だけでなく毛先の質感までも柔らかくしなくてはならないことでした。ハードなパーマだったら気にならなかった毛先の質感も、巻き髪系でのパサつきやゴワついた質感はNGだったからです。

ほとんどのお客さまがカラーをくり返していて、さらにパーマも加えていくことを考えると、また髪に優しい薬剤が必要になってきました。それに今度はデザインと質感が大事ですから、流出してしまったタンパク質を補強していくトリートメントにも工夫が必要となりました。

それでも、そのような工夫を施しても、大きな柔らかさのあるカールを表現しながら長持ちさせるというのは、とても難しいことでした。たとえ1度目は成功したとしても、何度もくり返していけば、カール感か質感のどちらかが失われてしまうことに…。良い方法はないかと講習会に出かけて行っても、「巻き髪の次はボブですから、傷んだ毛先は切っちゃえばいいですよ。」を、何度か耳にするだけの日々が続きました。

正直、空しかったです。

なんでもできる美容師を目指してカラーやパーマにも取り組み始めたのに、結局は時代の波にのまれて、自分が何をしたいのかが分からなくなっていました。おまけにその頃は店の中でトラブルが多く、メニューの見直しだけに力を注げない状態。

何をしたかったのだろう。いつも考えるようになりました。

それでも店の状況が落ちつきを取り戻し始めた頃、現在カラーメニューで使用しているミナミルウォーターという水に出会い、そして導入する必要性を強く感じることもあり、自分に不足している毛髪化学を勉強し直そうと思い始めました。講習会に足を運んだり、薬剤師のお客さまがいらっしゃれば化学式を尋ねてみたりするうちに、人体の仕組みにも興味が湧いてきました。いつのまにか、アトピーで苦しんでいた時に読んだ本も引っ張り出してきたり、地球温暖化の本まで購入しては環境問題までも調べ始めました。

この頃は毎日のようにAmazonから本が届くので、みんな呆れていましたけれど、それでも調べることは止められませんでした。 美容師にとっては耳の痛い、経皮毒に関する本もかなり読みました。まるであのアトピー時代に戻ったかのように。

そしてやはり今回も…。

「もううちの店は、化学物質を使用しない店にしようか」

「石鹸シャンプーと、カット&セットのメニューだけにしようかな」

「ヘアカラーは、化学薬品ではない草木染め系だけでいこうか」

「アルカリのパーマ剤はもう止めよう」

またまた単純…。そんな性格が顔を出し始めていました…。

それでもアトピーで悩んでいた頃と違っていたのは、極端な方向へ走りそうになりながらも、デザインする楽しさを忘れてはいなかったことです。そのおかげで目指す方向もようやく見えてきました。

それは、単純に『健康的にもっとヘアデザインを楽しみたい!』ということです。

カラーやパーマでのスタイルチェンジは、カットだけでは味わえない喜びをプレゼントしてくれます。わたし自身アトピー体質でありながら、カラーやパーマを楽しみたいと思ってしまうのは、あの嬉しさや喜びを忘れられないからでしょうね。

でも、使用する薬剤の刺激や毒性を抑える事ができなければ、いつかまた限界がやってくる。それならば、いかにしてデザインとの両立ができるように、メニューシステムを組み立てるべきかを検討していくことが大切なのだ!ということに、ようやく本気で気が付いたのです。

そして大切な要素が浮かび上がってきました。ここでいくつかを紹介していきますね。

髪の毛を酸化(サビ)させてしまう要因に対して、還元力(サビをとる)のあるものを使う。
現在サロンでは、ミナミルウォーターケアウォーターを、薬剤を使用する際の処理剤として使用しております。2つの水に共通しているのは、ミネラルバランスを持った水で細胞を活性化してくれることにより、毛髪のダメージの軽減と、頭皮への刺激を緩和してくれることにあります。

お客さまの髪質と求めるスタイルに合った薬剤をセレクトする。
パーマをかける事そしてカラーをする事の目的は、髪をさらに美しくする事ではなく、新しいデザインを創作するためにあるものです。なので、お客さまの求めるヘアデザインに必要な強いパワーを持つものから、優しい薬剤まで幅広く揃えております。その中から本当にデザインに必要なものだけを選ばせてもらっています。

不必要な薬剤を髪の毛に残さないように、きっちり分解と除去をしてお客さまをお帰しする。
カラーやパーマの施術後の髪の毛に不必要な薬剤が残ってしまっていることは、傷みの大きな原因でした。 これらを分解、除去してお客さまをお帰ししています。

*パーマやストレートの後でも、ヘマチンを効果的に使いシャンプーをしながら分解と除去することで、余分な薬剤を残さずに、デザインが長持ちできるようにも努めています。 もちろんカラーの後にはプロトプラスを使用し、過酸化水素を分解してお客さまをお帰ししております。

ホームケアの大切さを説明する。
ご自宅でのシャンプー選びは本当に大切です。BUDDY GUUではいくつかの理由から、ヘマチンが入っているR-21シャンプーを中心に、ノンシリコンタイプのディレクターズシャンプーをオススメしております。

それとは別に、サロンワークでは数種類のシャンプーを目的別に使い分けております。特にハニエルシャンプーという髪の細胞に直接はたらきかけて自分の力で髪に必要な栄養素を作り、ダメージを回復する自己復元システムのシャンプーは凄いと注目していて、トリートメントメニューとしてのメニュー化も検討中です。(じつは、パーマやストレートの前にこのシャンプーを使っています。)

最新スチーム機器の導入。
従来は、髪にダメージを与えやすいアルカリの力を借りなくてはいけなかった薬剤も、微粒子スチームを活用することで、アルカリの力を借りなくても髪にダメージを与えることなく、薬剤を浸透させることができます。さらに髪に必要な栄養素も、より毛髪内部まで届けることができるようになりました。

これからの取り組み。
大きい取り組みはカラー剤です。来年のメニュー化に向けて2つのメニューのテストをくり返しています。

ひとつはCTFカカラーという、今までかぶれの原因だったジアミンや、アミノフェノールを使用しないカラーをサロンメニューに取り入れられるようにしたいと思っております。こちらのカラーを使用できるようになれば、毛先に対して過酸化水素も使用しなくて済みますので、まったくダメージを与えないで済むという、従来では考えられい画期的なカラー剤だと思います。まだ色味に関しての幅が狭いので、そちらをどう調整していくかが現段階での課題です。

それと白髪染めに対して、ハーブや漢方系のカラー剤を取り入れていきたいとサンプルを取り寄せ始めました。ただ、わたし自身が試してみた結果、天然の自然素材のものというは体に優しいと思っていたですが、意外にも痒みを伴ってしまうことが分かりました。花粉症の方が杉花粉に反応を示してしまうように、人によっては合う、合わないがハッキリと現れるような気がしておりますので、その辺を慎重に見極めていきたいと思っています。

このような取り組みをして行く中で、おかげさまで毎日のサロンワークを楽しくさせて頂いております。ご来店して下さったみなさんに感謝します。ありがとうございます。

まだまだ完璧なサロンとはいえず、ご迷惑をおかけしている面もございますが、自信を持って「BUDDY GUUはステキなことをしているよ!」と、言えることが多くなってきました。ケアウォーターをお客さまの髪の毛に塗布しながら、「ケアウォーターくんは今から張り切って働いてくれるのだろうなー!ありがとう!たのむよ〜!」と、ニヤついている毎日ですけれど、みなさま気になさらないでくださいませ…(笑)。


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